ふいちゃんの中国日記

つれづれ編

眩暈(めまい)

2018年11月4日


知覚過敏で片づけられたわたしの歯の痛みは和らぐことはなかった。ちょうどこの時期は私の帰省日程と重なっていた。1か月前にすでにJRの乗車券を買っていたので歯の痛みを抱えたまま帰省することになった。兄姉たちが歓迎してくれたが、せっかくのご馳走を十分に満喫することはできなかった。

帰省から戻ってきた私はかかりつけの歯科医院に診てもらいに行った。かぶせていた金属をはずした結果は虫歯で、歯の神経が侵されていることがわかり治療が始まった。痛かったはずだ。ゴリゴリと虫歯の部分を削っている音が感じられる。その日の治療が終わって渡されたのは2種類の飲み薬で、化膿止めと痛み止めということであった。服用を始めると”ふわふわ”とした軽い眩暈がするようになった。

次の治療日に「あの薬は眩暈がする副作用がありますか。」と尋ねたが「先生に確認しておきます。」の返事しか返って来なかった。その次の治療日にも同じ質問をしたが進展はなかった。そこでわたしは薬の副作用について自分で直接インターネットで調べることにした。インターネットが世の中になかったころは素人にとっては調べようがなかった情報も今は簡単に入手できるようになっている。

薬の名前は「ロキソニン錠60mg」と「ペンクッド錠250㎎」で、なんと重要副作用に2種類とも“眩暈”が挙げられていたのである。その次の治療日にコピー資料を持って行き、受付女性に「参考にしてください。ここに眩暈の副作用が載っています。」と渡した。どうやら受付嬢は先生にその資料を持って行ったらしい。

程なくして呼ばれて診察台に向かっていると先生がコピー資料を片手にわたしに近寄ってきて言う。
「薬というのはどれも副作用がありますからねえ。」
「今回の眩暈がこれらの薬が原因かどうかは特定できません。」

わたしは眩暈が起きたことを非難しているのではない。薬には副作用があることも承知している。初めから「これらの薬は眩暈がおきることがあります。」と説明があれば、その状態を“なにかの病気の前兆だろうか”などと不要な心配することなく私自身の「管理状態下」に置けたのである。

治療台に上がりながら、わたしはさりげなく言った。「薬を飲まなくなってからは眩暈はおきておりません。」薬は2回処方されたがいずれも2日分ずつだった。

お医者さんは“今回の眩暈がこれらの薬が原因かどうかは特定できません。”というような表現を好むのを経験上、数多く知っている。その特徴は“定性的表現”である。では定量的にはその“確率は何%ですか”ということになる。

私達は変化点管理を無意識に行っている。眩暈の副作用を持つ2種類の薬を服用してから眩暈が起きるようになった。服用を止めたら眩暈が起きなくなってきた。素人的にはこれで十分である。薬を飲んだ時たまたま別の原因で眩暈が起き、そして薬を飲まなくなったら眩暈が起きなくなった可能性はきわめて低いであろう。