ふいちゃんの中国日記

ふいの中国語講座/成語

第九計 隔岸観火

2012年2月10日


この字をみて日本のことわざを思い浮かべる。「対岸の火事」、「川向こうの火事」。意味するところは「川向こうで燃えている火事なら、類焼のおそれがまったくないということから、自分にはまったく関係がないことのたとえにいう。」(実用ことわざ小事典:永岡書店)。

だが、島村義著三十六計(ダイヤモンド社)の「隔岸観火」は意味がさらに深く広範囲だという。「三十六計」は謀略の書であると言われるから、「自分にはまったく関係がないことのたとえ」という解釈では謀略の匂いがない。

(以下引用)「通常の火事ばかりでなく、仲間割れ、通敵、利敵者や反乱者がでるといった不測の事態に対してじっと静観せよ」と説く。「つねに相手側の変化をじっと冷静に観察し、時を待ち、好機至ると思えば、さっと乗り出せ」という。

「“時を待つ”これこそ人生にとっては大事な姿勢ではないか。」老子の思想の紹介に、「事物はすべて時によって変化する。その時は長いにせよ短いにせよ、時が熟せば必ずや変わる。それまで待て。」「悠久の時の流れに比べれば、十年や十五年はなんでもない。」

 ホトトギスが鳴かなければ
   「殺してしまう」織田信長
   「鳴かせて見せる」豊臣秀吉
   「鳴くまで待とう」徳川家康

成功者となったのは「鳴くまでまつ」ことのできた徳川家康だった。家康は天下を奪い取ったのではなく、じっくりと時間をかけ、あの手この手で豊臣家の自滅を誘い、天下が自然に転がり込んでくるのを待っていたのである。

“岸を隔てて、余裕を持って、しかも次の手をどう打つか、考えながら火を観る者は、つねに勝利者だ。”と作者は結んでいる。